数学基礎論サマースクール

選択公理と連続体仮説

概要

ツェルメロの選択公理およびカントールの連続体仮説の公理的集合論からの独立性が、ゲーデルの内部モデル理論とコーエンの強制法によって確立されて以来,すでに五十数年が経過しました.選択公理は今日においても数学者が集合論に関心を引かれるきっかけとなる最大のテーマであり,また,連続体仮説の周辺の問題は現在も集合論の中心問題のひとつです.今回のサマースクールでは,これら古典的問題の現代的な取り扱い,および関連する最近の話題を紹介します.

日時・会場

2019年9月3日(火)〜同6日(金)

静岡大学静岡キャンパス 共通教育B棟B301室(このリンク先の地図の赤色に記された建物のB棟です.この地図もご参考ください.)
〒422-8529 静岡市駿河区大谷836

静岡大学静岡キャンパスへの交通アクセス
理学部数学科棟へのアクセス案内もご参考ください.共通教育B棟は「生協ショップ 銀杏」のすぐ近くです.
「生協ショップ 銀杏」から共通教育B棟への道のりはこちらもご参考ください.

静鉄バス 静岡駅前 静岡大学・東大谷行き時刻表(各バスの行き先に十分ご注意ください.)
静鉄バス 静大片山 静岡駅前行き時刻表(各バスの行き先に十分ご注意ください.)

懇親会

2019年9月4日(水) 講演終了後すぐ,静岡大学生活協同組合第一食堂にて.
会費は3,500円です.

参加申し込み

本サマースクールに参加ご希望の方は以下の情報を8月2日(金)までに email で,
件名を「SS2019」として依岡( yorioka@shizuoka.ac.jp )までお送りください.

氏名:
所属:
身分:
email アドレス:
懇親会:参加・不参加

参加申し込みを受け付けた場合は必ず返信します.数日経っても返信のない場合は再度参加申し込みをしてください.連絡先はプログラムや教室変更などの緊急連絡に利用します.
懇親会に不参加の方のサマースクール参加申し込みは,上記の締切を過ぎても,随時受け付けます.懇親会を不参加の場合,参加費は不要です.

講義題目と講師

菊池誠 (神戸大学) 集合論のための数理論理学

1.数理論理学の基礎,数理論理学と集合論

 ヒルベルト流の述語論理の体系,完全性定理,ペアノ算術と不完全性定理,集合という考え方,ZFC 集合論の公理.[スライド]

藤田博司 (愛媛大学) ツェルメロの選択公理

0.順序数と基数

 集合と写像の概念から出発して,集合の濃度について説明します.次に,順序数と基数の定義を述べます.なるべく基本的なところから説明するように努めます.[スライド]

1.選択公理と整列集合

 ツェルメロによる整列可能性の証明に初めて選択公理が登場したときの事情にさかのぼり,整列定理,選択公理,ツォルンの補題の同値性を示します.[スライド]

2.選択公理と数学

 ティコノフの定理やベクトル空間の基底の存在と選択公理との同値性を示します.[スライド]

3.選択公理のない関数解析

 ソロヴェイのモデルや決定公理のもとで展開される関数解析が選択公理のもとでの関数解析と少々違った様相を呈する,そういう事例をお話しします.(板書による講演)

池上大祐 (芝浦工業大学) カントールの連続体仮説

1.連続体仮説とその周辺の話題

 連続体仮説を導入し,連続体仮説に関わる話題として, カントール・ベンディクソンの定理,巨大基数,ゲーデルのプログラムなどを紹介します.(板書による講演)

2.カントール・ベンディクソンの定理の証明

 定義可能な実数の集合を研究対象とする記述集合論の発端となった議論の一つであるカントール・ベンディクソンの定理の証明を紹介します.(板書による講演)

3.連続体仮説と集合論についての主張と議論

 これまでの集合論を振り返り,連続体仮説と集合論についての講演者の主張とその議論について話します.[スライド]

酒井拓史 (神戸大学) ゲーデルの構成可能集合

0.公理的集合論

 公理的集合論の基礎を説明します.具体的には,集合とクラスの区別,関数や関係などの数学の諸概念の取り扱い,および超限帰納法を解説します.[スライド]

1.集合論のモデル

 集合論の公理系の無矛盾性を議論するときには,(直感的には)集合論のモデルが用いられます.集合論のモデルについての基本事項を解説します.[スライド]

2.構成可能集合のクラス L

 構成可能集合のクラス L を紹介し,ZF の下で L が ZFC と一般連続体仮説(GCH)をみたすことを示します.このことから,「ZF が無矛盾ならば ZFC + GCH も無矛盾である」という相対的無矛盾性が帰結されます.[スライド]

3.L と巨大基数

 巨大基数は実数の集合の性質と深く関係することが知られていますが,L をはじめとする内部モデルがその橋渡しの一端を担います.巨大基数と内部モデルおよび実数の集合の関係について,初期に得られた結果を紹介します.[スライド]

依岡輝幸 (静岡大学) コーエンの強制法

1.強制法による無矛盾結果の導き方

 強制法の概要と,強制法を使って無矛盾結果を導く仕組みを解説します.(板書による講演)[宿題]

2.連続体仮説の否定の無矛盾性

 初回で解説した強制法を使って,「ZFCが無矛盾ならば,ZFCと連続体仮説の否定も無矛盾である」ことを示します.(板書による講演)[宿題]

3.強制法公理と連続体濃度

 ベールのカテゴリー定理のある種の一般化である強制法公理を導入し, 強制法公理と連続体濃度の関係を解説します.(板書による講演)

プログラム

(9月2日20時45分)プログラムを変更しました.
3日(火)4日(水)5日(木)6日(金)
10:30〜12:00菊池依岡1池上1藤田2
13:00〜14:30藤田0依岡2酒井3池上3
14:40〜16:10酒井0依岡3藤田1藤田3
16:20〜17:50酒井1酒井2池上2--------
今後の講演者間の話し合いなどにより,プログラムは変更する可能性があります.

世話人:依岡輝幸(静岡大学理学部数学科
リンク:日本数学会 数学基礎論および歴史分科会


高画質のポスターはこちら