静岡大学理学部物理学科

教員からのメッセージ


阪東 一毅  専門:波導体光物性
  • 物理は、大変スケールの大きな宇宙から、素粒子のようなミクロな世界まで、 とてもスケール幅の広い自然現象を研究対象としています。しかし、物理の本当の面白さは、 幅広いスケールの自然現象の中に隠れている共通した自然法則を解き明かすことにあります。大規模な宇宙の成り立ちはミクロな世界で顔を出す量子論によって説明できたり、 あるいは最近話題となったヒッグス粒子では物質に質量を与えるメカニズムが超伝導現象と同じ法則で 説明できたり…。しかし自然現象の中に隠れている法則は簡単には顔を出してくれません。また先人によって探求されてきた物理法則を理解することさえも一筋縄にはいかないことが 多くあります。しかし物理に一歩足を踏み入れてみてください。その本質を理解できたときには、 法則が持つシンプルさと美しさに感動を覚えるはずです。このように物理では自然現象の裏に 隠されている物事の本質を見極めるための論理的な思考と試行錯誤が大変重要となりますが、 物理学科では単に知識を学ぶだけでなく、このような論理的思考力を養うこと、そのための試行錯誤を 行うことに重点をおき学習や研究を行います。このような論理的思考力と試行錯誤のプロセスは 科学者にだけ必要なものではなく、社会に出た際にも大変強力な武器となります。このため、 物理学科を卒業した学生さんは物理系分野にとどまらず、情報系、化学系、生命科学系など あらゆる分野からも重宝され活躍の場を得ることができます。本学物理学科の教員はそれぞれ 様々な物理の専門分野で最先端の研究を行っていますが、それぞれの分野の側面から、 また様々なアプローチで学生指導と十分なサポートを行いますので、自然法則の本質を見極めたい方、 また論理的思考力という武器を身につけたい方、ぜひ物理学科にきてください。一緒に物理を 楽しみましょう。



土屋 麻人  専門:素粒子論
  • 皆さんは物理学にどんなイメージをお持ちでしょうか。ここで2008年度の日本人のノーベル物理学賞受賞を思い起こす方も多いでしょう。 物理学は自然現象の背後にある法則を追及する学問ですが、物理学には2つの側面があると思われます。 現代の科学技術の基礎を支えているという側面と、人間の自然を理解したいという欲求に根ざした文化としての側面です。 後者の側面は文学や芸術といったものがもつ側面とある意味で同じと言っていいかもしれません。 物理学の発展において一般には両者を切り離すことはできないのですが、ここで面白いのは、 物理学の理論のなかには、始め純粋に後者の側面しかもたないと思われていて、 後になって私たちの日常生活に実際に役立つことになるものがあるということです。 例えば、アインシュタインが20世紀初頭に発展させた重力理論である一般相対性理論をもとにビッグバン宇宙論が形成されたわけですが、 一方で近年カーナビに使われている 人工衛星を用いたGPS(Global Positioning System)において、 一般相対性理論がなくてはならないものになっているといった具合です。 宇宙の始まりに思いをはせることができるのも、 目的地のレストランに迷わず到着できるのも同じ理論のおかげというわけです。 ただ、このような物理学において常に変わらないと思われるのは、物事の本質を見抜こうという姿勢です。 若いときに、このような物理学的なものの見方を学ぶことは大変有意義であると思います。 とにかく考えるのが好きな人、徹底的に実験するのが好きな人、そのような人はぜひ物理学科にきて、 物理学的なものの見方を学んでみてください。その経験を活かして将来さまざまな分野で 活躍されることを期待しています。



松本 正茂  専門:物性理論
  • 私は子供のころから理科が大好きでした。そのせいか、今では物理の研究を行う研究者に なってしまいました。皆さんの中には大学受験に際してどの分野を選択するか、迷っている人もいる のではないでしょうか。理学部はもちろん理科系の学部であり、また、工学部とは少し異なった趣を 持つ学部です。はっきりとした区別はできないでしょうが、工学部では主に、新しいもの、 より良いものをいかに生み出していくかに重きを置くのに対して、理学部では自然現象が どのようなしくみで起こっているかをつきとめる研究をする学部です。理学部の中でも物理学は、 基本的な立場から自然現象を理解する学問です。私の経験では、高校での物理は、 公式を覚えてそれを適用することが多かったため、あまり面白いとは思いませんでした。 これに対して大学の物理では、物事を基本に立ち返って考え、数学を使って論理的に自然現象を 説明します。私にとって高校の物理よりも、このようなやり方の物理学の方が分かりやすく感じられ、 物理にひかれるようになりました。物理学科では、講義、実験、演習を通して、 論理的な思考はもちろんのこと、実験のテクニックや数学力を養い、物理的な立場から自然現象を 理解します。現在の科学は進歩も速く、さまざまな学問分題の境界領域の研究も盛んになりつつあります。 物理学を学んだ者の強みは、問題に直面した時の問題解決能力にあると思います。 皆さんには、このような物理学を大学で学び、それを武器として、研究開発をはじめ、 色々な分野へ挑戦して欲しいと思います。