シロイヌナズナ

木嵜暁子

学名:Arabidopsis thaliana

 シロイヌナズナはアブラナ科の小さな雑草で、その名の通り白い花を咲かせるナズナの仲間です。見た目は地味な植物ですが、植物科学の研究では現在最もよく用いられている植物で、とても頼もしい存在です。シロイヌナズナは、1)小さくて育てやすく、2)ライフサイクルが約2カ月と短く、3)たくさん種子が採れるうえ、4)ゲノムサイズが小さい、という遺伝子を扱ううえでは大変有利は性質を持っています。以上のような性質により1970年代頃から遺伝学の材料として注目され、その後様々な突然変異体が単離され、解析されてきました。多くの研究者がモデル植物としてシロイヌナズナを用いるようになると、形質転換(遺伝子導入)などの実験手法や、遺伝子マーカー、EST(expressed sequence tag)などが充実し、さらに2000年には全塩基配列が解読されるに至りました。現在では、ますますシロイヌナズナを用いた研究の基盤が充実してきているので、突然変異の原因遺伝子を特定したり、未知の遺伝子の機能を解明するのにとても役に立っています。
 多くの研究者がシロイヌナズナを用いて研究するのは、そうした研究で得られた成果の多くが他の植物にも応用できると期待されるからです。しかし一方で、シロイヌナズナの研究で、すべての植物の遺伝子や性質が解明できるわけではないこと忘れてはいけません。
 私たちの研究室では、ご多分に洩れず研究にシロイヌナズナを用いていますが、今後もこの小さな植物と上手に付き合っていきたいと思っています。



戻る