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[記事公開日]2014/07/04
[最終更新日]2018/02/16

徳元研究室メンバーが奇形腫(テラトーマ)の新規原因遺伝子座を発見

奇形腫(テラトーマ)の新規原因遺伝子座を発見—テラトーマ形成の原因解明へ

 

生物科学科、徳元研究室の奇形腫形成の原因遺伝子存在部位の特定に関する論文が「Mammalian Genome」という学術雑誌に掲載を受理されました。ett1と命名したマウス18番染色体の1.1Mbpの領域に存在する遺伝子に異常があるとヒトを含めた脊椎動物でみられる生殖細胞を起源とした特殊な腫瘍(ガン)である奇形腫(テラトーマ)を発症することを実験により証明しました。この領域に存在するett1遺伝子が解明されればテラトーマ発症の仕組みが解明されることが期待される。テラトーマ形成はiPS細胞などの万能細胞の分化多能性の指標とされるもので、そのメカニズムが解明されれば臓器移植での細胞の異常増殖、分化を防ぐ方策を考える根拠となると考えられる。
本研究のマウス系統は文部科学省からの系統保存費により飼育維持されてきた静岡大学のオリジナル系統である。静岡大学においては野口等によりテラトーマを高い頻度で発症する特殊なマウス系統が開発・維持されてきた。このマウス系統を用いればテラトーマの原因遺伝子の特定が可能である。本研究はこのテラトーマ高発系から原因遺伝子領域を別のマウス系統に交配導入することでその領域が原因遺伝子を含むことを明らかにしたものであり、交配後のマウスの個体識別においては浜松医科大学の高林、加藤先生の協力をいただき約7年間を費やした。最終的な胎児精巣の移植実験による遺伝子領域の証明実験は生物科学専攻2年生の宮嵜君が行った。尚、今回の成果においては長年マウス系統の飼育維持に努めていただいた大平幸夫さんの貢献が大きい。

 

静岡新聞|NEWS>奇形腫の原因、遺伝子領域特定 静大の徳元教授ら