学部長(専攻長)あいさつ

「面白いは役に立つ、面白いを役に立てる」

理学部では何をしているかわからない」という話を、最近よく耳にします。静岡大学理学部には数学科、物理学科、化学科、生物科学科、地球科学科の5学科と創造理学コースという教育プログラムがあり、理学部生はこれらの学科・コースに所属し、関連する内容について学び、研究を行ないます。それぞれ学科の名前から、高校で学んだ内容をさらに深く学ぶということは容易に想像できると思います。しかし、工学部や農学部などに比べ、研究内容については想像しづらいのではないでしょうか。理学部の研究内容について聞かれた時、私は「自分が面白いと思った事象について、その原理・法則を明らかにする研究を行なっている」と答えています。

「面白い」とはなんでしょうか?様々な事象はある原理・法則に従っています。例えばリンゴは「下に」落ち、「上に」は移動しません。これはリンゴと地球の間に引力が働いているからです。このような物理法則の発見は、「なぜリンゴは下にしか落ちないのか?」という単純な疑問に端を発しています。このように疑問を持ち、その疑問を明らかにしたい、と興味を持つことが「面白い」ということだと思います。

一方、「理学部の教育・研究は社会の役に立つのか?」という質問もよく耳にします。物事の原理・法則を知ることは、社会に役立つ様々な発明につながるとともに、新たな産業を生み出します。例えば、インターネットの通信やコンピューターには数学の素数や物理の量子力学が、またコロナウイルスのワクチン開発には生物のDNAやタンパク質の合成機構が利用されています。理学部の教育研究活動の多くは、すぐにその実用性が見出されなくても、いつか社会に役立つ「未来の種」を育んでいるのです。

また静岡大学理学部では、積極的に「面白いを役に立てる」ための取り組みもしています。創造理学コースでは英語コミュニケーションと複数学科をまたぐ教育を行い、イノベーションやグローバルの素養を持った人材の育成を行なっています。さらに全国で数少ない、放射科学を教育研究する放射科学教育研究推進センターがあり、ここではこの分野で活躍できる人材の育成を行なっています。

このように静岡大学理学部では、「面白い」を究め、面白いを「役に立てる」教育・研究を行なっています。さあ、皆さんも「面白いは役に立つ、面白いを役に立てる」をモットーに、学び研究をしてみませんか?

理学部長  山本 歩